西村経済再生担当大臣記者会見要旨


令和2年3月5日(木)19:15~19:29
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室

1.冒頭発言

 本日、未来投資会議を開催し、新型コロナウイルス感染症が世界的な広がりを見せる中での我が国のサプライチェーンや観光などの状況、キャッシュレス、中小企業の生産性向上、環境・エネルギー問題について議論しました。
 議論の結果は、以下の通りです。

 第一に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中国などから日本への製品供給の減少による我が国サプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国への依存度が高い製品で、付加価値が高いものについては、我が国への生産拠点の回帰を図り、そうでないものについても、一国に依存せず、ASEAN諸国などへの生産拠点の多元化・多角化を図ってまいります。
 さらに、国民の健康を守ることを最優先に、感染拡大の防止に全力を挙げる一方、その後には、オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、官民一丸となって、キャンペーンを実施し、内外にメッセージを発信していきます。人の流れを回復するため、観光需要の喚起や地域の農産品や名産品、商店街の賑わい回復を含め、国を挙げたキャンペーンを検討いたします。
 そして、この機会に、様々な分野で、オンラインでのサービス提供を進めていきたいと考えております。自宅でのテレワーク、オンラインでの会議、教育、健康相談、行政の手続き、こういったものについて、この機会に、思い切ってオンライン化を進めていきたいと思っております。

   第二に、先般の経済対策の早期執行・本予算の早期成立を図るとともに、こうしたときこそ、経済の下押しリスクを乗り越えるためにも、引き続き賃上げの流れの継続が重要であります。中小企業を含めた幅広い賃上げの実現には、取引価格への転嫁を進めることが不可欠であります。
 総理からは、梶山経済産業大臣と私を中心に、関係省庁と連携しながら、大企業と中小企業の共存共栄に向けた取組をしっかりと進めるよう指示がありました。
 これを受け、梶山大臣とともに、産業界の発注者・受注者双方が参加する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」を立ち上げる予定であります。梶山大臣と連携をして、適正化を着実に実行してまいりたいと思います。

 第三に、キャッシュレス化については、ポイント還元事業の終了後の次のステージとして、国内外の消費者が円滑に利用できるよう、内外の規格の統一などを図っていきたいと思います。

 第四に、環境・エネルギー問題については、未来投資会議に、新たに議論の場を設け、大所高所から、骨太のビジョンを検討することとし、準備を進めてまいります。


2.質疑応答

(問) 環境・エネルギー問題に関する新しい会議について、今後議論すべきテーマとして、例えばどのようなものが重要になってくるのか、大臣のお考えを伺いたい。

(答) エネルギー・環境を巡っては、世界、国際会議でも、大きな議論は常に行われておりますし、国内に資源のない国でありますから、様々な要請もあります。こうした中で、大所高所から、大きな方向性、骨太のビジョンを、是非、じっくりと議論していただきたいと思っております。


(問) サプライチェーンのオンライン化について、昨年12月の経済対策にもある程度入っており、補正予算や本予算にも入っていると思うが、そういったものをスピードアップしていくのか、こういった事態を受けて別の視点が必要なのかという点について、大臣のお考えを伺いたい。

(答) 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、自宅で勤務するテレワークをやっておられる方、自宅で学習する子供たち、あるいは集まることなくオンラインで会議を開く、学会なども開かれているようです。様々な分野でこうしたことが行われております。これまでも行政の手続きなども工程表を作って、オンライン化を進めてきておりますし、昨年まとめた経済対策の中で、まさにデジタルニューディールとして、様々なIT技術を活用して、オンラインで、生産性を上げていく様々な取組をもうすでに実施しようとしているところ、あるいは既に進んでいるものもありますが、この機会にもう一度、オンラインを活用してまいりたい。民間議員の中にはピンチをチャンスに変えるという言い方をされている方がいましたが、まさにこの機会にこの取組を一層加速していくことだと思いますので、規制改革なり、しっかり洗い直して加速して進めていければと思います。


(問) 総理の発言にあった観光事業の喚起や地域の農産品についての国を挙げたキャンペーンは、資金繰り支援等、既に政府が行っている支援策の一環という形で予算等をつけるイメージか。また、これは新型コロナが収束する前に発表したいような時期のイメージか。

(答) まず政府としては、現在は、まさに国民の健康、命を守ることが最優先でありますので、まずは自粛をお願いしながら、あるいは一斉休校もお願いしながら、感染拡大の防止に全力を挙げているところであります。まずはこれをやらなきゃいけないと。これに伴って無理をお願いしているところもありますし、影響が出ている中小企業の皆様もたくさんおられますので、資金繰りと雇用を守ることに全力を挙げていきたいと思います。他方で、収束をして、経済を回復させていく段階になれば、今回議論した、まさにサプライチェーンをどう再構築していくのか、改革をしていくのか、あるいは国内の人の流れ、動きを活発化する、あるいはインバウンドも、もう一度多くの人に日本に来てもらうということも含めて、官民一丸となって進めていかないといけないということで、キャンペーンの実施等を想定しておく必要があると思っています。今申し上げたような回復段階においてのキャンぺーン等については、年度内の予備費で執行するというより、来年度、収束がどのタイミングになるかはありますが、収束し、そして多くの人に日本に来てもらう、あるいは国内で活発に活動を再開していく、そういう段階での実施を想定しているものであります。どの予算を使っていくかは状況に応じて判断していくことになりますので、今の段階であらかじめ補正予算を想定しているものではありません。


(問) キャッシュレスのところで、ポイント還元事業の終了後の次のステージとおっしゃったが、新型コロナウイルスで足下の消費の冷え込みがしばらく続くことが予想されるなかで、延長等を政府として検討する可能性はあるか。

(答) 今の段階では考えておりません。先ほど申し上げたキャンペーンのなかで、どういう風に人の動きを活発にし、地域の名産品、あるいは、商店街の活性化、賑わいをどう回復するのかといったことを念頭におきながら、いろんなことを考えていかなければならないと思っています。


(問) 梶山大臣と産業界と共同で「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」を開くとおっしゃったが、会議の目的や開催方法について、詳しく分かっていたら教えてほしい。

(答) これまでこの場でも申し上げてきたかと思いますが、まさに人件費が上がっていることなど、取引対価に転嫁をしていく、これの円滑化であります。これについては、働き方改革が四月から導入される、あるいは厚生年金の適用拡大、賃上げの流れの継続など、中小企業を取り巻くさまざまな制度変更への対応に向けて、転嫁を円滑にできること、コストが上がった分は取引先、大企業にみてもらうことが大事でありまして、この取組を進めていくことは、すでに骨太方針2019、あるいは昨年の総合経済対策でも言及してきたとおりであります。昨年の26兆円まとめた経済対策のなかでもしっかりと書かせてもらっています。こうした取組を具体化して、大企業、中小企業が新しい事業環境の下でも共に成長できる取引構造の構築を促進していくということが極めて大事になってきているということで、特に人手不足による人件費の上昇に直面する中小企業にとって、また、大企業にとっても、自らに不可欠なサプライチェーンをしっかりと持続可能なものとしていく観点からも大事でありますので、そういう意味で、昨今の新型コロナウイルス感染症などを背景とした経済の下押しリスクがあるなかで、そうしたものを乗り越えるためにも必要であると考えています。そういった観点から、とりわけ人件費などの価格転嫁の協議を促進する体制を梶山大臣と私を中心に、業所管官庁の協力も得ながら、中小企業と発注者たる大企業が参加して、新たに「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」を立ち上げて、その場で議論を深めていければと思っております。会議の構成員や開催日程などの詳細については、固まり次第、調整がつき次第ご説明したいと思っています。


(以上)