令和7年6月23日石破内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【東京新聞】
企業団体献金について/選択的夫婦別氏制度について
(回答)
企業団体献金や選択的夫婦別氏制度に関する国会での議論の状況について、内閣総理大臣の立場から発言することは差し控えます。
その上で、企業団体献金について、自民党総裁として申し上げれば、「禁止よりも公開」との考え方により、これを国民の不断の監視と批判の下に置くことが重要であると考えています。こうした考え方について、国民の皆様からより幅広い御理解を賜ることができるよう、引き続き、真摯な議論を行ってまいります。
また、夫婦の氏の在り方については、現在でも、国民の間に様々な意見があると承知しています。
家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感やこどもへの影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要であり、政府・自民党としても、国民各層の御意見や国会における議論の動向等を踏まえ、適切に対応してまいります。
【ジャパンタイムズ】
いわゆる「外国人対策」について
(回答)
我が国が成長型経済に移行するに当たって、海外活力の取込みは不可欠ですが、昨今では、海外からの就労者や観光客等の増加に伴い、犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用など、国民の皆様が不安を感じるような事案も発生しています。
ルールを守らない方々には厳格に対応するとともに、我が国の制度が社会のグローバル化に対応できていないことにより国民の皆様が不安を払拭できない状況にあるとすれば、果断に見直しを行うことが必要であると考えています。
他方で、各種施策を推進するに当たって、外国人の人権にも配慮し、我が国で孤立することのないよう必要な支援を行うことは当然のことです。政府としては、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」や「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を定め、外国人の受入れ環境整備にも取り組んでいます。
外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、引き続き、必要な対策を、総合的かつ着実に推進してまいります。
【静岡新聞】
刑事訴訟法の再審規定を改正する必要性について
(回答)
刑事再審手続については、様々な議論が存在するところですが、現在、法制審議会・刑事法(再審関係)部会において、その規律の在り方について調査審議が行われていることから、政府としては、まずは、その議論の状況を見守りたいと考えています。
【信濃毎日新聞】
ふるさと納税制度本来の趣旨との乖離(かいり)について
(回答)
ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体へ感謝や応援の気持ちを伝えるために創設された制度であると認識している。
制度に対しては、様々なご指摘があるところだが、災害の被災地を支援する目的でも広く活用されており、また、受け取った寄附金を活用した特色ある取組が全国各地で進められている。
今後とも、必要な見直しを行いながら、ふるさと納税制度が、本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう、取り組んでまいる。
【TBSラジオ】
名目GDP(国内総生産)1,000兆円について
(回答)
我が国経済は、名目GDPが600兆円を超え、賃金も2年連続で5パーセントを上回る賃上げ率が実現する等、成長と分配の好循環が動き始めています。コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、成長型経済への移行を確実なものとします。
このため、「賃上げこそが成長戦略の要」との考え方の下、国民の所得と経済全体の生産性を向上させます。この実現に向け、中小企業・小規模事業者の賃上げを促進するため、適切な価格転嫁や生産性向上を後押しするなど、賃上げ支援の施策を総動員します。
こうした取組により、中長期的に実質1パーセントを安定的に上回る成長を確保するとともに、2パーセントの物価安定目標を実現することで、2040年に名目GDP1,000兆円に引き上げてまいります。
なお、2024年4月に内閣府が示した長期推計では、我が国がそうした成長型経済に移行したケースにおいて、名目GDPが2040年頃に1,000兆円程度に到達する姿が示されています。
【CBCテレビ】
暫定税率廃止について
(回答)
いわゆる「暫定税率」の廃止については、
・ 社会インフラの整備・維持管理のための安定財源確保
・ 地方財政との関係
・ 地球温暖化対策との関係
など、解決すべき課題があります。
自動車関係諸税全体の見直しとともに議論を進め、これまでの政党間の議論を踏まえ、安定財源の確保などとあわせて、結論を得たいと考えています。
【江川 紹子氏(フリーランス)】
法の支配について
(回答)
我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のため、世界初の常設国際刑事法廷であり、元最高検検事で我が国出身の赤根智子(あかね ともこ)氏を所長とする国際刑事裁判所(ICC)を一貫して支持しています。
ご指摘の共同声明に関する我が国の対応については、様々な要素を総合的に勘案した上で決定したものですが、例えば、米大統領令発出に先立つ、1月23日には、制裁措置に対し深刻な懸念を表明するICC締約国会議議長団声明に参加しています。
その上で、米国に対しては、本件について、様々なレベルで働きかけを行ってきており、直接提起しています。
何よりも重要なことは、ICCが独立性を維持し、安全を確保しながら、その活動を全うできることです。引き続き何が最も効果的かという観点から、ICCや他の締約国と意思疎通を行いつつ、適切に対応してまいります。
法の支配は、平和と繁栄の基礎をなすものです。我が国としては、今後もICCに協力し、国際社会における法の支配の増進に積極的に貢献してまいります。
【大川 豊氏(フリーランス)】
「18歳の壁」問題について
(回答)
御指摘の「18歳の壁」の問題について、障害のある方などが特別支援学校を卒業した後、障害福祉サービスが午後3時台などに終了する場合に余暇活動の機会や居場所が確保できず、夕方以降の時間を有意義に過ごすことが難しい、また、御家族にとっては仕事との両立が難しくなる、といった御意見があることは承知しています。
このような夕方の支援ニーズに対応していくことは重要であり、政府としては、
・令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、生活介護の「延長支援加算」を拡充する
・障害者の創作的活動の機会や日中活動の場を提供することを目的として、「日中一時支援」や「地域活動支援センター」などの事業を地域の実情に応じて実施する
といった対応を行っています。
引き続き、支援機関や当事者団体等の御意見を丁寧に伺いながら、施策の推進に取り組んでまいります。