日韓首脳会談等についての会見

更新日:令和7年9月30日 総理の演説・記者会見など

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【石破総理冒頭発言】

 それでは私から申し述べます。先ほど、李在明(イ・ジェミョン)大統領との間で首脳会談を行いました。6月の大統領就任以降、3回目の対面による会談ということになります。二国間訪問として日本の総理が韓国の地方都市を訪問するというのは、21年ぶりということであります。
 先月、大統領が来日されました。今般の私の韓国訪問によって、両国首脳による「シャトル外交」が着実に実践されているということでありまして、これは戦略的に重要な日韓関係を安定的に発展させていくという上で、極めて有意義なことだと思っております。「シャトル外交」ですから、本当に1年に1回か2回、行ったり来たりするということではなくて、もっと頻度を上げるということが、日韓の物理的・時間的距離の近さからいっても十分に可能なことだというふうに思っておりまして、これは本当に「シャトル」の名にふさわしいものにしていきたいというふうに思っております。本日の会談におきましては、先日の東京での会談の成果の上に、更に幅広く議論を深め、日韓関係を安定的に発展させるということで一致をしたところでございまして、特に、現下の戦略環境、非常に厳しさを増しております。連携をして対応するために、安全保障、経済安全保障分野について、戦略的な意思疎通を続けていくということを確認をしたところであります。また、地方創生、首都一極集中、少子高齢化等々、両国が共通して直面しております社会課題につきまして、両国が協力して解を見つけていくと、そういうような枠組みの立ち上げで一致をしたところであります。
 昨日、東京におきまして、次官級をトップとします、そういうような協議というものが始まったところでありますが、こういうものを更に充実させたいというふうに考えておりますし、いわゆる実務者同士、あるいは政治家同士、また、民間、学者、地方と地方、いろんなレベルで重層的にそういうことをやってまいりたいと思っておるところでございます。日韓間には、水素、アンモニアなど、既に協力に向けた議論が進んでいるというものもあります。多くの潜在的な協力分野がございます。本日はその一つ、AIを含む科学技術分野における協力について議論するために、「日韓科学技術協力委員会」を開催するということでも一致をしたところであります。
 インド太平洋、パレスチナ情勢を含む地域情勢についても意見交換を行いました。北朝鮮の完全な非核化に向けて、日韓、日韓米、緊密に連携して対応していくことを改めて確認したところでありますし、拉致問題の即時解決に向けた韓国の一貫した支援に感謝を申し述べたところであります。
 これは、国際社会が間違いなく歴史的な転換点にございますので、私は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として堅持するということ、そしてそのために、幅広い国との間で信頼関係を構築していくこと、連帯を強化していくということに力を尽くしてまいりました。国連総会で、私も李在明大統領も演説をしたところでありますが、その李在明大統領の演説というものを改めて読んでみますと、本当に、示し合わせたわけでも何でもないんですけど、重なる部分、非常に多いねということを思ったところでございます。やはりキーワードは「強靱(きょうじん)な民主主義」ということでありまして、韓国はその民主主義というものを実践をし、守り抜き、それは韓国のためだけではないと、全世界のためのものだということを大統領は演説されました。私が申し上げた強靱な民主主義と、偏狭なナショナリズムに陥ることなく、そしてまた、無責任なポピュリズムに陥ることなく、そして、健全な言論空間というもの、そして、現実をきちんと誠実に直視をするということの重要性、そういうことを国連総会の演説で申し述べたところでありますが、これは大統領の演説とも非常に通底する部分があったというふうに考えておるところでございます。
 今般の「シャトル外交」の実践というものを通じまして、今後とも、日韓の協力関係が更に強固なものとなり、日韓の緊密な連携が、この地域のために、世界のために資するものになるように、日本国として努力をしていくことの必要性ということを改めて感じた次第であります。今回の日程というものをホストしていただきました大統領並びに韓国政府の皆様に心から感謝を申し上げる次第であります。以上です。

(今の話について、改めて、先月の東京での会談で、人口減少や少子化、首都一極集中といった共通課題に関する協議体立ち上げとか、来月、韓国の慶州(キョンジュ)で開催するAPEC首脳会議の成功に向けた協力についても確認したが、具体的な進展があれば。もう一つは、今年で日韓の国交正常化60年ということで、両国は歴史的なつながりも深いが、必ずしも良好な関係とは言えなかった面もあると思うが、李大統領との関係改善に向けた流れを、次の政権にどのように引き継いでいく考えか)

 はい、ありがとうございます。先ほどの冒頭発言でも申し上げましたが、昨日、次官級をトップとする、そういうような協議体が立ち上がったということであります。これから議論すべきテーマというものについて、認識の一致をみて、これからいわゆる事務方同士でそういうものをやっていくと、じゃあこれはどこの役所がやるんだとかいろんな整理をしなければなりませんが、そういうものが具体的にスタートするというのは、大統領の強力なリーダーシップによるものだということで、私自身、本当に意義のあることだというふうに考えております。地方同士のそういう交流も、例えば、私の選挙区を頂いております鳥取県と江原道(カンウォンド)ですね、これがもう30回近い意見交換、そういうような人口減少とか、一極集中とか、そういう議論を行っておるところでありますが、鳥取県に限らず、全国あちらこちらの自治体が韓国の自治体とそういう議論を行っておるわけでございます。ですから、中央政府、地方政府、あるいは民間、あるいは大学同士、そういうものが重層的に、これ、加速度的にそういう議論が進んでいくというような状況にまで、今なったなということは非常に意義深いことだというふうに考えておるところでございます。
 さらに、次の政権に何を望むかということでありますが、やはりこの関係というものを、不可逆的に、決して後戻りさせることなく、発展的に進めていっていただきたいというふうに思っております。日韓の重要性というものをよくよく認識をされ、それが日韓の利益のみならず、地域全体、あるいは世界全体に日韓の協力関係は大きく資するものであるということ、あるいは、もちろん違う国ですから、認識が違うことは当然ございます。しかしながら、私どもとして、本当に歴史を直視をする、そういうような勇気、誠実さ、そういうものは持たねばならないと思っておるところでございます。認識は決して、常に一致するとは限りません。むしろ一致することが少ないでしょう。ですけれども、本当に我々として、歴史を直視する誠実さと勇気と、そういうものを持つという姿勢は、必ず韓国の人たちに理解されるものだというふうに思っているところでございます。

(石破政権の発足から明日でちょうど1年になるが、内政、外交を含めて、この1年間の取組を自身でどのように評価し、次の政権に内政、外交を含めて、どのようなことを期待しているか。あわせて、総理は先日の内外記者会見で、戦後80年のメッセージについて、先の大戦を止められなかった理由や政治の役割について述べたいというふうな考えを示したが、戦後80年のメッセージについて、現在の検討状況はどうか。)

 評価は自分でするものだとは思っておりません。それは、国民の皆様方に対して、国家に対して、次の時代に対して、私どもの内閣として、本当に誠心誠意、全力を尽くしてきたというふうに思っております。多くの方々の御協力を頂き、与党・野党多くの方の御協力を頂き、法案も、あるいは条約もパーフェクトに近い形で、遅滞することなく成立もいたしました。それは私自身として、本当に多くの方々に感謝を申し上げるだけでございます。評価は、次の時代の方々がされるものだと思っておりまして、ここで自慢する、羅列をするつもりはございません。
 また、(戦後)80年(のメッセージ)ね。現時点で、形式とか内容について、これだということが固まっているものではございません。今日の日韓首脳会談までは、その前の国連総会演説、今日の日韓首脳会談に向けて、これは多くのディスカッションを行い、これまた全身全霊で当たってまいりましたので、もちろんそれぞれが別個独立にあるものではございませんので、長崎、その前の広島で(の)戦没者慰霊式典、あるいは国連総会演説、それは一連の自分の考え、あるいは私どもの考えというものに沿って申し上げてきたものでございます。決して歴史認識を覆すとか、そういうようなものではございません。形式、内容について、現時点で固まってるものはないということだけ申し上げておきます。

関連リンク

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