官民ビジネス対話における石破内閣総理大臣挨拶

更新日:令和7年8月21日 総理の演説・記者会見など

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 お待たせいたしました。日本国内閣総理大臣でございます。官民ビジネス対話に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 「援助から投資へ」ということを申し上げたいと思います。このTICAD(アフリカ開発会議)のプロセスも30年を超えました。「援助から投資へ」この言葉ほど、日本とアフリカとの関係の変遷を端的に表すものはないと思っております。
 今、私ども日本国は、アメリカ合衆国と関税交渉、詰めの段階に入っておりますが、私はトランプ大統領との間で「関税よりも投資」ということを申し上げておるところであります。これをアフリカと間違えてはいかんのでありますが、この言い間違いをしないように気をつけなければいけないのですが、日本とアフリカとの関係におきましては「援助から投資」ということをキーワードにいたしたいと思っております。
 今回のTICAD9では「革新的な課題解決策の共創」をテーマといたしまして、正に日本とアフリカが相互に学び合いながら、アフリカ及び国際社会の課題解決に向け、共に協力していくことを目指しております。
 今朝行われました署名文書の披露式典におきまして、前回のTICAD8、その時の3倍を超える300件以上の協力文書が披露されました。これほど多くの日本企業が、アフリカの未来に向けた協力を約束をいたしております。日本はアフリカの信頼できるパートナーとして、この流れを加速をいたしてまいります。昨日も申し上げましたが、日本はアフリカの皆様と共に笑い、共に泣き、共に汗をかきながら、アフリカが直面している課題の解決に一つ一つ取り組んでまいります。相手のことを知り、相手に寄り添い、共に解決策を創る。日本は今後とも、こうした丁寧なやり方をひたむきに続けてまいります。この官民ビジネス対話では、日本とアフリカの官民双方が、三つのテーマに焦点を当てて未来を切りひらく解決策を議論するということだと承知をいたしております。
 一つ目は、持続可能な産業エコシステム強化による経済多角化であります。アフリカの若者の活力は、イノベーション主導型の新しい産業を次々と生み出しております。日本の若者もアフリカのニーズを把握をし、ヘルスケア・農業・金融分野と新しいサービスを創出をいたしております。
 本日は午前中に、武蔵精密工業のブースを拝見をいたしました。この武蔵精密工業は、ケニアあるいはエチオピア、現地スタートアップの皆様方と共に、電動バイクバッテリー交換ステーション事業に取り組み、カーボンニュートラルな交通手段の実現に取り組んでおるものであります。AI(人工知能)を含むデジタル関連産業や、クリエイティブ産業などの新しい分野の人材育成は、今後の成長を加速させる土台の一つとなります。スタートアップやこうした産業を育てていくとともに、より大きな雇用創出、製造業を育てていくことが重要であります。東京大学の松尾先生も先ほどの署名式に御出席をいただきましたが、アフリカでAI人材を育て、現地での就業を支援する取組を進められます。日本を含む東アジアがそうでありましたように、国全体が豊かになるためには、製造業で雇用を増やしていくことが重要であります。日本はアフリカ諸国を対象として、今後3年間で30万人の人材育成を実施をし、経済多角化を後押しをいたします。日本の製造業も人材育成に努力をいたしてまいります。
 二つ目は、アフリカ域内の連結性、地域統合促進と域内外の連結性の強化であります。アフリカ連合(AU)の指導の下、アフリカ大陸自由貿易圏の取組が、巨大な単一市場の誕生を目指し、進展していることは非常に尊敬に値をすることであります。日本といたしましても、域内連結性の強化に協力をいたします。例えば、ナカラ回廊開発に関する広域オファー型協力により、国境を越えた地域の物流を強化し、周辺地域の産業振興も併せて促進をいたします。昨日から既に20に及ぶアフリカ首脳の皆様方と会談をさせていただいております。今日もまだ幾つも、多くの国々の方々との会談が予定をされておりますが、会談におきまして南部アフリカ諸国の皆様方から、ナカラ回廊開発への熱意が示されました。その熱い思いを私どもはきちんと受け止め、ここにおられます日本の官民の多くの関係者の皆様方と同じ思いを持ちながら、努力をしてまいりたいと存じます。域外との連結性の強化にも日本は協力をいたします。産学官による日本・アフリカ間経済連携強化に関する検討委員会の設置、「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を立ち上げてまいります。日本はアフリカとアフリカ域外の地域をつなぐ、強固な架け橋となりたいと思っております。
 三つ目は、民間セクター主導による持続可能な成長に向けたファイナンス評価であります。日本は開発金融機関、輸出信用機関や民間金融機関と連携をしながら、公的資金と民間資金の最適なブレンドを追求し、アフリカの産業育成を含む社会課題解決に取り組んでまいります。国際社会は今、複合的な危機に直面をいたしております。地球温暖化はその一つであります。アフリカからお越しの方々「日本は暑いな」と思いだと思います。アフリカはもっと暑いともいう指摘もございますが、こうした地球温暖化による気温の上昇は、農業・漁業、そのような産業に深刻な影響を与えております。このような複合的な危機の時代に、日本・アフリカのパートナーシップはいかにあるべきか。日本・アフリカ双方の強み、すなわちAI・DX(デジタル・トランスフォーメーション)・GX(グリーン・トランスフォーメーション)などの日本企業の技術・知見、これまで必ずしも正当に評価されてはこなかったアフリカの在来の知恵、内発的な試み・工夫、それにアフリカの若い方々の活力や創造性。このようなアフリカの強み、日本の強み、それをお互いに持ち寄り社会課題の解決を図ることで、成長する未来を共に作っていきたいと、このように考えておるところでございます。
 本日お集まりの皆様方の御協力をいただきながら、今回の官民ビジネス対話、その議論の道筋を示す、そのような議論が行われますことを、これを祈念をし、御挨拶といたします。ありがとうございました。

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