インド洋・アフリカ経済圏フォーラムにおける石破内閣総理大臣挨拶

更新日:令和7年8月20日 総理の演説・記者会見など

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 皆様おはようございます。日本国内閣総理大臣石破茂であります。このフォーラムを主催していただきました日本経済新聞社さん、そして御列席の皆様、このような機会を頂戴をいたしました。ありがとうございます。このフォーラムの開催を心から歓迎をいたすものであります。
 このフォーラムが、我が国とアフリカとのパートナーシップを一層強化し、さらにはアフリカの発展に向けた、我が国と、インドや中東諸国を含むインド洋諸国との連携を深化させる、貴重な機会となると、そのようなことを期待をいたすものでございます。
 昔々、その昔、インドとアフリカはパンゲア大陸の一部として地理的に隣接をいたしておりました。その記憶は今も地層に刻まれているものでありまして、中世におきましては、インド洋の季節風に乗って商売人の皆様方、商人が海を越えて、織物、香辛料、工芸品、このようなものに交易の富を求めたものでございます。
 そして今、このインド洋・アフリカ経済圏は、若い人口、多くのエネルギー資源、そして高い経済成長、これを実現する地域として、この地球において存在感を高めているものであります。この地域の連結性を一層高め、貿易・投資を盛んにすることで、更なる成長を実現をする。我が日本国も、この地域の皆さん方と共に取り組み、アフリカの活力、ダイナミズムを取り入れたいと思っております。そのような思いで、本日、TICAD9(第9回アフリカ開発会議)に合わせまして「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を提唱したいと、このように考えております。
 我が国はこれまで、自由で開かれたインド太平洋、いわゆるFOIPの実現に向けて取り組んでまいりました。今回のイニシアティブは、このFOIPのビジョンの下、インド洋・アフリカ経済圏に焦点を当てて、地域間の連結性を強化し、自由で公正な経済圏の構築を図るものであります。
 日本企業によるインフラ、資源・エネルギー、ITといった分野への投資は、これまでも、アフリカの社会課題を解決し、若者に雇用を生む重要な役割を果たしてまいりました。
 本日提唱しましたイニシアティブの下、私たちは、更にアフリカとインド洋諸国を結び付け、この地域における日本とインド洋諸国との新たなダイナミズムをもって、アフリカによる域内統合や産業発展の取組を支え、更なる成長へとつなげてまいります。
 現在アフリカでは、大陸全体で自由貿易圏を作るという壮大なプロジェクトが進行いたしております。こうした動きを後押しをし、日本とアフリカの幅広い経済連携を強化する方策をアフリカと日本の産学官の代表で議論をしてまいります。ナカラ回廊広域オファー型協力などを通じてアフリカによる域内統合を促進するとともに、インド洋諸国とアフリカの連結性を強化いたしてまいります。
 共創・共業を基調とした域内産業の発展と雇用の創出を進めるとともに、インド洋諸国との協力強化を推進してまいります。その際、アフリカのスタートアップなどと日本企業の協力を図る日本アフリカ産業共創イニシアティブにおいて、インド洋諸国の企業を含めた協業を支援するとともに、アフリカ企業に投資する印投資ファンドにJICA(国際協力機構)が出資する等、我が国企業とインド太平洋地域の企業、そしてアフリカの企業の一体となった取組を促してまいります。
 既に、日本のダイキンやスズキは、インドのパートナーと共に、インド製のエアコンや自動車をアフリカに輸出するとともに、アフリカの若者に技術やノウハウを提供し、地域産業の自律に貢献しております。今後、インドのモディ首相とも議論を深め、このイニシアティブを、地域全体の取組としてまいりたいと、このように考えております。
 このインド洋・アフリカ経済圏の更なる発展は、アフリカの発展に必ず大きく貢献する、そのように私は信じているものでございまして、この実現に向けて、日本は、地域の皆さん方と共に取り組みます。その実現の鍵を握るのは、言うまでもなく、このTICADに集まってくださったアフリカ各国の皆様方であります。日本は、アフリカの皆さんを始め、地域の皆さんと共に、このイニシアティブの実現にしっかりと取り組んでまいります。フォーラムの御成功をお祈りして御挨拶といたします。ありがとうございました。

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