創薬力向上のための官民協議会
令和7年6月26日、石破総理は、総理大臣官邸で第1回創薬力向上のための官民協議会に出席しました。
会議では、創薬エコシステムに資する取組及び創薬力向上のための官民協議会の今後の進め方について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「内閣総理大臣石破茂です。本日は、第1回創薬力向上のための官民協議会に、国内外から多くの皆様方に御出席をいただきました。誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
昨年7月、創薬エコシステムサミットにおきまして、政府は、日本を世界の人々に貢献できる『創薬の地』としていくこと、民間の更なる投資を呼び込む体制・基盤の整備に必要な予算を確保し、政府を挙げて創薬力構想会議の提言を具体的に進めていくことを宣言をいたしました。
それ以降、創薬力強化に向けた新たな取組が官民で起こっております。官におきましては、前国会で薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)等の改正を行い、『湘南ヘルスイノベーションパーク』のような創薬クラスター、集積地、これを整備・強化するための新たな基金を造成をいたしました。長期収載品への依存からの脱却を含め、医薬品業界全体の構造改革を進め、産業競争力を高めていくとともに、スタートアップ等から革新的新薬を生み出す創薬基盤の整備に必要な予算を確保いたしてまいります。
民間におきましては、武田薬品(注)、アステラス製薬が、初期段階の研究をスタートアップ設立につなげる支援を行う合弁会社を設立をいたしました。また、ノバルティスファーマは、研究から開発への橋渡し機能を拡充する拠点の設置を発表いたしました。
私たちは、今、地方創生を内閣の最優先事項として進めております。この点、医薬品製造拠点の多くは地方にあり、地方創生の観点でも医薬品産業は重要であります。富士フイルム富山化学が2027年に稼働する予定の製造拠点は富山県富山市に、ノバルティスファーマ社が2026年に稼働する予定の放射性医薬品の製造拠点は兵庫県丹波篠山(たんばささやま)市に置かれます。本日ここに、医薬品産業は我が国にとって重要な成長産業・基幹産業であることを改めて申し上げたいと存じます。
ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消や我が国の医薬品産業の国際競争力の強化に向け、この官民協議会は非常に重要なものとなります。『官と民が垣根を越えて知恵を出し合い、真摯に議論を重ねていく』。これを実現させるための具体的な仕組みとして、協議会の下にワーキンググループを設けることを、ここに発表させていただき、9月上旬にも第1回を開催することといたします。行政と関係者が現場の実態や課題を踏まえた上で、創薬を取り巻く制度の改善案を整理する。これを行政が個別の政策・制度に反映させていく。このようなプロセス自体が、『開かれた制度形成を可能にする、創薬における官民連携の新しい形』となります。また、関係省庁が官民協議会に一体となって対応することは、創薬の司令塔機能の強化という観点でも重要なものとなります。
本日を出発点として、官民での今後の議論を深めていくことを約束いたします。その上で、関係者の皆様方におかれましては、内資・外資を問わず、日本を創薬の地とするための継続的な投資を是非御検討ください。国内外からお集まりいただいた皆様方と力を合わせ、世界と繋がる日本の創薬エコシステムを築いてまいりたいと存じます。
本日は誠にありがとうございました。」
(注)「武田製薬」と発言しましたが、正しくは「武田薬品」です。