新しい地方経済・生活環境創生本部
令和7年6月13日、石破総理は、総理大臣官邸で第4回新しい地方経済・生活環境創生本部を開催しました。
会議では、地方創生2.0基本構想について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日、今後10年間を見据えた『地方創生2.0』の方向性を示す『基本構想』を取りまとめました。
これからの20年で生産年齢人口が、1,500万人弱、2割以上が減少すると見込まれる中、かつて人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められております。
今回の基本構想では、当面の人口減少を正面から受け止めた上で、社会課題解決に挑戦する意欲・能力のある『民』の力を最大限にいかすこと、こうした官民連携を強化していくことを前面に打ち出し、『令和の日本列島改造』を進めてまいります。
第1の柱は、『安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生』です。『若者や女性にも選ばれる地方』の実現に向け、働き方・職場改革を進めるとともに、アンコンシャス・バイアスの解消に取り組みます。
人を惹(ひ)きつける質の高いまちづくりを進めるため、民主導でハード整備からソフト運営まで担う新しいタイプの企業城下町の形成を促進します。ロールモデルとなる方々のネットワークづくりや、必要となる規制・制度改革や支援などについて議論し、実現していくため、『民主導による新たなまちづくり推進会議』を今月内に立ち上げ、早速、取組を開始します。
第2の柱は、『稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生』であります。多様な食、農林水産物や文化芸術等の地域のポテンシャルを最大限にいかすため、農林水産業のスマート化や中小企業の生産性向上・輸出促進等を強化するとともに、スタートアップを生み出すエコシステムの形成を進めることで、『稼げる地方』を実現し、『地方イノベーション創生構想』を推進してまいります。
第3の柱は、『人や企業の地方分散』です。政府関係機関を始めとする産官学の地方移転に取り組むとともに、魅力的で実効性のある『ふるさと住民登録制度』の早期開始により、関係人口をいかし、都市と地方の人材交流を進め、地方への新たな人の流れを創出します。
第4の柱は、『新時代のインフラ整備とAI(人工知能)・デジタルなどの新技術の徹底活用』です。AI・GX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用した産業構造に向け、ワット・ビット連携などによる新時代のインフラ整備を面的に展開してまいります。
地方創生2.0では、AI・ロボット・ドローンなどの新技術を地方の課題解決に最大限活用し、地方創生1.0では考えられなかった対応策・選択肢を増やしていくことが極めて重要であります。これらの新技術を活用し、遠隔医療、自動運転、ドローン配送などにより地方における社会課題の解決等を図り、誰もが豊かに暮らせる社会を実現します。
第5の柱は、『広域リージョン連携』です。都道府県域を超えて、地方公共団体や経済団体、大学等の多様な主体が連携してプロジェクトに取り組む枠組みを新たに創設します。先行して3か所の広域リージョンにおいてプロジェクトを開始し、全国展開を目指します。
本構想では、10年後に目指す姿を14個の定量的な目標として設定し、速やかに取り組む60個の政策やプロジェクトについて、当面の具体的な取組目標と併せて盛り込んでおります。
国や地方、企業等の地域における多様なステークホルダーのそれぞれが、役割を最大限に発揮して、地方創生2.0を力強く推進していく必要があります。『民』の力を最大限にいかしつつ、国としても、地方創生・伴走支援制度の拡充による人材支援、倍増した新地方創生交付金の使い勝手向上、地域の各種データの視覚化等を支援し、自ら考え、行動する地方を応援してまいります。
何よりも実行が重要であり、全ての閣僚は、各府省庁の先頭に立って、本基本構想に基づく施策を速やかに着手し、全国各地で地方創生2.0を起動してくださいますようお願いいたします。以上です。」