新しい資本主義実現会議
令和7年6月6日、石破総理は、総理大臣官邸で第35回新しい資本主義実現会議を開催しました。
会議では、新しい資本主義実行計画2025年改訂版案の決定について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日、『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版案』を取りまとめました。
『賃上げこそが成長戦略の要』であり、2029年度までの5年間で、実質賃金で年1パーセント程度の上昇を賃上げの新たな水準の社会通念『ノルム』として我が国に定着させ、『賃上げと投資がけん引する成長型経済』を実現いたします。
特に我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者について、『賃金向上推進5か年計画』に基づき、5年間で60兆円の生産性向上投資を官民で実現します。中小企業団体・地域金融機関を中心に2,000を超える者できめ細かな支援を行うとともに、人手不足が深刻な12業種で『省力化投資促進プラン』に基づき官民で省力化投資を推進いたします。
17兆円規模の自治体の官公需、11兆円規模の国の官公需の両方で、価格転嫁・取引適正化を徹底して進めるとともに、事業継承・M&A等による経営基盤の強化など、中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備に政策資源を総動員いたします。
最低賃金については、2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続することとし、官民で、最大限の取組を5年間で集中的に実施します。
国が賃上げと価格転嫁の先導役になり、日本経済を絶対にデフレ時代に後戻りさせることがないように、デフレ時代に固定化されたあらゆる制度の見直しを進めます。
『賃金向上推進5か年計画』の中で、働き手の賃上げ原資を確保するための官公需の価格転嫁の徹底、医療・介護・保育・福祉等の公定価格の引上げに取り組むとともに、政府自身が物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けて率先垂範すべく、全省庁における予算・税制・公的制度の閾値(しきいち)の総点検と見直しを進めます。
我が国が本格的な労働供給制約社会、いわゆる『人財希少社会』へと突入し、人手不足が深刻化する中にあっても、ピンチをチャンスに変えて、企業・産業の『稼ぐ力』を高め、賃上げと投資の好循環の拡大と加速に取り組み、2030年度135兆円、2040年度200兆円の国内投資目標を官民で必ず実現し、すべての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する『人財尊重社会』を築いてまいります。
第一に、中堅企業の創出・成長加速、ヘルスケア・防災・コンテンツ等の新たな『勝ち筋』となる研究開発・輸出促進、AI(人工知能)・GX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタル・トランスフォーメーション)・経済安全保障分野の取組の着実な推進等を通じ、『投資立国』の実現に取り組みます。
第二に、全国での高専発スタートアップエコシステムの構築など、『スタートアップ育成5か年計画』の強化に取り組むとともに、大学・企業の両方で『科学技術・イノベーション力の強化』を図ります。
第三に、三位一体の労働市場改革、働き方改革の総点検、産業人材育成プランの実行など『人への投資・多様な人材の活躍推進』と、『資産運用立国』の取組の深化に取り組みます。
第四に、地方におけるイノベーション拠点の強化、企業資金の地方への呼び込み、規制改革等を通じ、『地方経済の高度化』に取り組みます。
今月中旬の閣議決定に向け、赤澤担当大臣を中心に、与党とも調整を進め、関係大臣が協力して取りまとめ作業を加速してくださいますようにお願いを申し上げます。」